このレビューはネタバレを含みます▼
時間を巻き戻すという構成が単なる技巧にとどまらず、人が形づくられていく過程そのものを静かに照らし出していく
現在の姿から過去へと遡ることで、何気ない選択や出会いが、いかにしてその人の輪郭をつくってきたのかがじんわりと浮かび上がるのが見事
四人の関係性もまた、劇的ではないからこそリアルで、近づいたり離れたりしながら続いていく「つながり」の尊さが胸に残ります‥
とりわけ印象的なのは、変わり続けることと続いていくことが矛盾しないのだと、そっと教えてくれる視点のやさしさ
日常に潜む息苦しさや違和感をすくい取りながら、それでも前へ進んでいけると信じさせてくれる語り口には、確かな温度がある
読み終えたあと、自分の過去さえも肯定できるような、静かな余韻を残す一冊