ネタバレ・感想あり春のこわいもの(新潮文庫)のレビュー

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確実に心をざわつかせる一冊
ネタバレ
2026年4月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 著者が切り取るのは、外から迫る恐怖ではなく、人の内側で静かに育ってしまう逃げ場のない違和感

コロナ禍という揺らいだ時代背景を下敷きに、嫉妬や劣等感、匿名性に潜む悪意といった感情が、じわじわと日常を侵食していく様子が描かれる
どの物語も劇的な出来事に頼らず、むしろ思考の揺らぎや言葉の連なりによって、不穏さを読者の内側に沈めてくるのが印象的
とりわけ終盤の一編は、関係性の歪みが静かに連鎖していく過程が秀逸で、読み終えたあとも鈍い余韻が残る‥

美しさと不気味さが紙一重で共存する、感情の奥行きを覗き込むような短編集
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作家名: 川上未映子
出版社: 新潮社
雑誌: 新潮文庫