このレビューはネタバレを含みます▼
世代も価値観も大きく隔たった祖父と孫の同居生活を軸に、「食べる時間」というささやかな営みが、人の記憶と感情を静かにほどいていく物語
とりわけカレーという親しみ深い料理が、戦後から現代へと続く時間の橋渡しとなり、語られなかった過去にほのかな輪郭を与えていく
頑なさや不器用さを抱えた登場人物たちは分かり合えないまま、それでも同じ食卓を囲むことで関係を更新していくのが印象的です
やがて明らかになる秘密も、単純な赦しに回収されないからこそ、人生の複雑さをそのまま映し出す‥
温かさとほろ苦さが絶妙に溶け合い、読み終えたあと、何気ない一皿の重みが少しだけ変わって見える一冊