このレビューはネタバレを含みます▼
アセクシャルな自分に戸惑いを抱える主人公が、自身の居場所や他者との距離感を問い続ける物語
SM業界という一見特殊な舞台を選びながら、描かれているのは「普通」とされる価値観からこぼれ落ちた人々の切実な人生‥
失踪した美織を追う過程にはミステリの面白さがあり、その調査は同時に主人公自身の内面を掘り下げる旅にもなっていく
恋愛や性愛を当然視する社会の空気を見つめ直し、多様な生き方にそっと光を当てる視点が印象的です
登場人物たちは決して理想化されず、ときに身勝手で不器用だからこそ人間味にあふれている
ユーモアと痛みを絶妙なバランスで織り込みながら、自分らしく生きることの難しさと尊さを描き出した、余韻深い一冊