このレビューはネタバレを含みます▼
あの問題作を出発点に、6人の作家がそれぞれのやり方で「人の内側に潜む歪み」を描き出す意欲的なアンソロジー
題材の縛りは共通していながら、ミステリ、ホラー、心理劇とアプローチが見事に分岐し、読後の感触も一編ごとにがらりと変わるのが面白い
とりわけ我孫子武丸の一編は、原点を踏まえつつもなお読者の認識を揺さぶる鋭さが光り、企画の軸としての存在感を強く示す
加えて神永学や歌野晶午の作品は、構成の妙と余韻の苦さで印象を深く刻む
全体として驚きと不穏さが絶妙に同居しており、単なるトリック集にとどまらない読書体験を提供してくれる一冊
読み進めるほどに、人間という存在の輪郭がじわりと揺らぐ感覚を味わえます