このレビューはネタバレを含みます▼
人の世と異界の境界を鮮烈に描き出した泉鏡花の代表的戯曲集
妖や伝説が息づく幻想的な世界のなかで紡がれる恋と信義の物語は、美しさと残酷さを併せ持ち、心を強く揺さぶられます
独特の文体には少し敷居の高さもありますが、その響きに身を委ねるほど、絵巻物のような情景が眼前に広がっていく感覚を味わえる‥
妖たちの妖艶さや恐ろしさだけでなく、人間の身勝手さや純粋な願いまでも浮かび上がらせる筆致は見事
幻想文学としての魅力はもちろん、愛や約束の尊さを深く問いかける普遍性も備えた傑作
舞台芸術の香気まで感じられる濃密な読書体験が待っています