このレビューはネタバレを含みます▼
「相手がいてはじめて輪郭が出来る」
東京、長崎五島列島、大阪。
あっけない音信不通から始まるミステリー仕立ての中に社会と人の感情とさまざまな離別が交錯しています。細部にリアリティと説得力があって胸に迫ります。
ある日突然ピリオドがくること、喪失の衝撃の中にあっても身体の生命活動は続くこと、夢でもいいから会いたい気持ち、時は戻らないこと、後から知り出会い直すこと、伝えたかった思い、慟哭。
苦しいのに温かい余韻が残るところが一穂ミチさんの織りなす世界、真骨頂だと思いました。