このレビューはネタバレを含みます▼
小料理屋「露くら」を舞台に、傷を抱えた娘が女将として立ち上がっていく姿を描く連作短編集
派手な展開に頼らず、人と人との機微や、日々の営みの中に宿る感情を丁寧にすくい取る筆致が印象的です
とりわけ、亡き母の面影を追いながら少しずつその生き方を理解していく過程には確かな成長が滲む‥
料理と人情が織りなすエピソードの数々は、どれも控えめながら心が温まる
終盤に明かされる事実も、劇的というよりはしみじみと胸に落ちる味わいで、本作全体の落ち着いた気配を象徴しています
読後には、もう少しこの店に通い続けたくなるような、不思議な愛着が芽生える一冊