描かれたのは少し昔なのに、現在の世界的課題をファンタジーに取り込んでいるのがよかったです。でもだからこそ、ヴァンシャという世界観が切ない。オムニバスの短編集で、複数のヴァンシャ人の考えとか価値観が垣間見れるのだけれど、読み進めるほどにヴァンシャ人の切なさを感じる。知能が高く発達した文明を持つがゆえの切なさ、外界との国交を絶たなければならなかった理由、外界の様々な者がヴァンシャ人の体には害になること。単なるファンタジーでは語り尽くせない深い意味が込められていると思います。読後の切なさを払拭するような続編がほしいです(切望)!