ニコラスからペイジへのド直球の物語。正直に言って、はとりにな先生の作品は男性側がグイグイと押しまくり強引に関係を迫るが、ヒロイン側もイヤよイヤよも好きの内私を奪って的な話が多い気がしています。個人的には好みではないのでその状況にイラつきますが、好みは人それぞれですからまあいいのですが。この物語も例外ではなく、状況が状況だし、私も強引なのは嫌いじゃないしだから良いのよという話です。ペイジの置かれた状況だけは切々と語られているのにニコラスを理解しようともしない。一族存亡の危機の原因は知っているのにそれがなぜ破綻せずに維持できているのか現実を直視しない。政略結婚も悲劇に見えるかもしれないが、得るものが共通している時点でそれは悲劇でも何でもない。あきらかにお人形さんとしてのペイジのその甘ったれた自分の身の上のことに見ないふりしている様が居心地悪さを醸し出している。ファザコンからの脱却になんら説明もなく只々力強い男に奪われ幸せにしてと擦り付けているように読める。