ネタバレ・感想ありモカのかおりはのレビュー

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コーヒーから始まるヒューマンドラマ
2022年11月6日
両親の反対を押し切って、結婚した姉が働く喫茶店でバイトする事になった主人公が、自信を持って淹れたコーヒーを貶され、美味しいコーヒーを淹れて、見返してやろうと努力するうちに、色々な騒動に巻き込まれるストーリー。始めは、ギャグっぽいが、話が進むと、どんどんシリアスに、なっていき、なかなかの読み応え。短編の二編も、いい。
喫茶店、女性の自立、養蜂家の子のこと
2024年5月20日
表題作は週少コミ1977年5月8/15号,5/22,5/29号初出。70年代は捨て子の話も世の中あるにはあったし、日常着が和服姿の女性もまだ時々居た。今と比べると個人的事情に人にずかずか入って来られることは比較的あった。そんな古い濃い時代の町の小さな喫茶店コミュニティと、そばに資本にモノ言わせた規模の大きめ喫茶店に進出された生存戦略の話。主人公が姉の居る都会に出て来て多々感じることなど。前半に見せる子どもっぽさが気になった。118頁。
同時収録の「サヨナラさしすせそ」50頁は、現代からは想像もつかないような今なら当たり前の男女平等の在り方が、その当時の古い男女観の下、女権拡張論者は過激だとの見方がなされている時期のストーリー。実は…というところに笑いを作り出している。この作品が、私には、あの頃の世相を踏まえて一番可笑しかった。軽快にぶっ飛んでいて、逆にノスタルジック!?。同誌76年2月1日号初出。
同収「蜂っ子菜っちゃん」32頁は掲載時期場所情報不明。小学生を購読層に描いたと思われる。

今から何十年か前の作品を、未読のまま大人になって現代の視点で読んでしまうと、何かともどかしいような、じれるような気分になったりもする。
びっくりしたり、また、横暴な印象を持つこともある。
しかしこの、今と隔絶した感覚は紛れもなくその漫画を取り巻いていた当時の空気。リアルタイムで読んではいないが、そのときの読者は、ほっこりしたりじんと来たり笑い飛ばして、支持していた。
灘しげみ先生といえばスポーツ少女漫画、という定評だが、こうした(学園)生活作品、他にはSF作品も手掛けて(「時のかなたに」等)おられた事を確認した。スポーツ物での極限まで肉体を苛める主人公達が、今度は(別人だが)舞台を日常に持ってきても、やはりエネルギッシュで何かを頑張る姿は読んでいて頼もしかった。
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作家名: 灘しげみ
出版社: ビーグリー