バロン吉元先生の筆致は人物も美術も背景も良いのは最終巻まで読んで確かだ
しかし武蔵含めた剣豪にも話運びにも魅力が乏しい
最初の巻でまず登場する新免無二斎を見て畏敬を抱かせる造形だ十手術と手槍の達人なのかと胸が高鳴るが、実は無二斎は弱っちい
無二斎は女を奪う目的で夜襲してるのに殺してまで奪った女はどうしようもないヤりマンで弁之助つまり武蔵の親戚の若い男にも手を出す
無二斎は女ではなく親戚の若い男を殺したがその場で新当流の有馬喜兵衛に果たし合いを求められ
無二斎は十手で不意打ちしながら有馬に敗死する醜態
そして無二斎の愛人は有馬にすり寄り今度は有馬を利用し武芸者の愛人として男を利用する毒婦である
身寄りない弁之助は単独で鍛錬しながら有馬の元を突き止めると彼は愛人に操られている事に疲れており
弁之助は実力及ばぬ事を知りつつ挑むと有馬は弁之助に隙を見せて刺殺させる
何これ?
武蔵は子供の頃から強かった、という話じゃない
武蔵は従軍した後に丸目蔵人に師事しようとするも丸目に冷淡に扱われる
宍戸梅軒も登場するがこれまたやり口が汚い
終盤には薩摩示現流を興している東郷重位と野試合を求められると武蔵は彼を木の枝で打ち降参させている
重位の扱いが軽いのはまだしも武蔵に負けない男前に描いて欲しかった
剣豪相手よりも武蔵は出会う女どもの方にのめり込んでいる
無二斎の愛人以外にも様々な女が登場しバロン吉元先生の筆も女の方が活き活きとしている
出雲の阿国に至るは武蔵と小次郎のどちらも溺れさせている
巌流の小次郎は顔だけは良いので数多くの女と遊びながらも阿国に溺れて妻を見捨てる
船島での対決は最終巻の最後20ページで決着し様々な人物を放棄して物語は終わる
何これ?
新免伊織は艫で脱糞して大便に集る海の魚を眺めて喜んでいる始末で遅滞を疑う奇行だ
絵は良いのだが武蔵が軽妙洒脱な男前という以外には武芸者の扱いが悪過ぎ
武蔵が求道者じゃないのが先取りが過ぎる
この作品の武蔵は全てにおいて徹底しないのだ、女と会う前には風呂に入ってないと臭いぞと注意されたから入浴したのだろうし酒の呑み過ぎで不覚を取りかける
吉元先生は女遊びしながらいい加減に生きる剣豪に描きたかったのか、武蔵は敵の実力を発揮させないで仕留める人物だった
武蔵の他にも無二斎や小次郎や重位はもっと魅力的な作品他にあると断言する