『カルドセプト』という名作カード&ボードゲームが原作の傑作コミカライズ作品!
原作は主人公(プレイアブルキャラ)に一切の設定・台詞がなく、選択したアバターのジェスチャーに合わせて登場人物がリアクションを取り物語が進行していきます。
舞台は、破壊された世界創造の書・カルドセプトの断片たるカードを収集し、これを復元することで万能の力を得ようとするカード使い“セプター”たちが果てしなく争う世界リュエード。カードから様々なクリーチャーや武器、天候や地形すら変えてしまうスペルを召喚して周囲に大きな被害をもたらすセプター間の争いをおさめるため、人頭杖のアーティファクトに導かれて一人のセプターが立ち上がる……というもの。
当作品ではナジャランというオリジナルキャラクターを主人公において、原作キャラの設定に巧みな変更を加えながら作品世界に切り込んでいきます。
人頭杖のおじいちゃんアーティファクト・ゴリガン と食いしん坊の少女・ナジャランの掛け合いは面白く、作者の卓越した画力と発想力によって生き生きと描かれるリュエードの世界にぐいぐい引き込まれます。
原作ゲームの全国大会優勝者をモデルにしたセプターが物語のキャラとして参戦したり、カルドセプトを巡るカード収集の争いに「人の願いを集め束ねていく」という側面があることを描いたり。
かねこしんや先生はゲームの世界をマンガに落とし込むだけでなく、マンガを現実のゲーマーの世界まで拡張し、設定をさらに深く掘り込んで『カルドセプト』の世界を再創造させました。
ゲームの面白さを十全に描く以上に、
ゲームの奥深さを拡大して読者に、ゲーマーに読ませてくれる。
これ以上に素晴らしいコミカライズはあるでしょうか?
コミックは全巻紙で揃えていましたが、電子書籍版の最終巻にのみ未掲載の話が含まれていたため購入しました。
原作を知らない方でも楽しめる、傑作ファンタジーコミックに仕上がっています。オススメです!