このようなセットがあると知っていたら、と、「悲運の花嫁」を単独で読んだあとに悔しく思った。セットは三冊とすれば割安、けれど、中のものを一冊でも読んでいたら、残り二冊分だけの為に買うのは無駄。
これは結構悔しい。なのに、たまにこういう目に遭う。
はっきりいうが、結局三冊を仕方なく「単品」で購入することになった私の目に、このセットはいまいましく、ホント先に購入検討すべき物だった。価値あるセットなのだ。
熱いバレンタインーこういう男子好きだわ~、という、私の好みにビタリはまった彼の一代告白記。ちょっとイジイジしていて。でも、繊細で、優しくて、そして、好きな女の子をずーっと好きだった、一途さと健気さの詰まったピュアラブ。今まで言えなかった経緯もまた、泣かされた。
悲運の花嫁ーかっこいいのは今度は女子。もうもう自分で頑張っていくまっすぐさが拍手物。なにかを待っているのではなくて、自分で切り開く人間は美しい。
船上の花嫁ー男性は中身がイケメンでないといけない、という原理原則を振りかざさずとも、幼児期に負った傷に外見で惑わされても、真の紳士は精神が紳士であることを沢山のエピソードをめぐる台詞と行動描写で説得力あり。最後のシーン、芝居の舞台のようにもって回ったところなのに、ヒロインの心の振り子の右から反対側の左へクルッと飛び込む勇気を与えてくれたシーンにもなり、溜まった読者のフラストレーションを晴らしてくれた。
ただふと、彼らは、元婚約者から慰謝料の請求はなかったのだろうかと心配になった。