ストーリーは壮大で、絵も合っていると思います。キャラのバックグラウンドも中々練っていて複雑な心理がキャラを動かしていると思いました。が、キャラの設定は読み終わった後に成程そうかと感じるので、作中は全くもって深みが生かされてません。複雑にし過ぎて描写が難しかったのかな?レザールの性癖があまり作中に生かされてないのが勿体ないです。性癖への経緯を考えると、もっと露わにしてそこに見出すものを描写していればレザールの闇が響いてキャラへの愛着が湧いたかも。デルニエは人との交流で自力で成長した様子が伺えるけど、レザールはどうなの?と、そこは描かれていないのでボスとしてどうなんだよ?デルニエに対してどうなんだよ?と身勝手なメンヘラ坊ちゃんイメージだけが残ってしまいます。最後のデルニエ暴走の理由も不明だし、所々重要なポイントを消化しきれてないのがモヤッとしますね。鬼火セカンドとデルニエのストーリーは心理描写があったせいか良かったです。ストーリーと漫画としての見せ方がいまいち合ってない印象だったのですけど、後書きに「バクマンみたく…」とあり、そこで思いました。ライトノベルでのストーリーで漫画のストーリーではない。バクマン作中にこういう指摘されるシーンがあるのですよね。まさにこの作品がそうだと感じました。ストーリーがライトノベルそのままで、挿絵が多いイメージ。絵もストーリーも悪くないのにちぐはぐ感と半端な描写で残念になっているのはそれが原因かと思いました。ただ、鬼火セカンドとデルニエのストーリーがもっと読みたいなぁ。