この作品は昔にアニメで初めて知った。
既にその頃から自分としてはその独特のノリや所々目立つ、世界観や人物造形の甘さや適当さがいろいろと引っかかったことを覚えている。
また、凛々蝶が年齢よりもその容姿も言動も幼いことに対する戸惑いや違和感も強く。ほとんど幼女だし。しかも、これが例の僕少女かという印象だったし。
この凛々蝶の設定も幼女かとも見紛うロリ美少女、実は人一倍繊細で淋しがり屋の高飛車ツンデレなどいろいろと萌え要素を盛り込み過ぎてしらけるし。
確かに御狐神のスマートな立ち居い振る舞いなど、部分的に惹かれる要素はあるものの。それに一見自己犠牲的なM気質の青年と思わせておいて、実は腹黒で隠れSという彼のキャラ設定自体は悪くはない。だが、しかし、所詮、そうした萌え止まりの作品と言うか。
そもそも、この作品の基本的な設定や世界観がよくわからない。彼らはいずれも先祖返りの妖怪で、名家の人間揃いらしいが。どうやら妖怪の世界でもそのランクの差、主人となる妖怪と家柄・仕える者の妖怪と家柄などがあるようだが。しかし、それらも具体的にはどのような基準で決定されているのかもわからない。何となく、鬼が最強ということになっているようだが。それから一番多くの読者達を惹きつけるのは美青年ボディーガードの御狐神の魅力と彼の主人凛々蝶へのひたむきな愛と献身ということなのだろうが。しかし、あまりにも彼のその愛し方が偏執的で変態的で常軌を逸し過ぎている。なおかつ重い。あなたは自分の唯一の存在理由ですなどと言われたら。主人の凛々蝶の隠し撮り写真の大量コレクションも完全に職権乱用のストーカーだろう。それに何と言ってもロリコン男という、御狐神の危険な印象も拭いきれない。凛々蝶の幼女に見える容姿と相俟って。それに彼の凛々蝶に仕え始める動機も最初から彼個人の私情が入り込み過ぎている。結局は自分の恋する女性と常に一緒にいたいからという動機だし。また、割と早い内に彼が忠実で献身的なボディーガードの態度をかなぐり捨てて、突然に凛々蝶に愛の告白をした上に「子供が欲しい」などと明確に凛々蝶との子作りや結婚についての願望を匂わすのも大胆で驚かされたし。もっと主従関係がゆえの、お互い恋心がありつつも、そうした境界線を踏み越えることに対する二人の葛藤もほとんどなく、あっさりと恋人同士になってしまうのも軽いし、浅い。