このレビューはネタバレを含みます▼
昔ながらの風習が残る村、という閉鎖的な舞台だからこそ表現できる、現代の世情との交錯。姉弟の絆だけでも成り立つところを、ある種噛ませ犬的な役割になってしまった都会に行く男の子(第三者視点)を入れることで読みやすくなっている。
姉を取り合うというところに重きを置かずに、事件の引き金程度に留められているため特殊設定を浮かせすぎず、近親恋愛というモノ自体は重めなところを馴染ませることができている。
仲の良い姉弟から夫婦となった2人、そして産まれた娘…これからもともに歩んでいくのだろう。
これは呪縛だろうか、それとも確約なのだろうか。残された左手と見せかけの命を繋ぎとめ幸せに導くのは、もはや彼以外いないのだ。