トラブルメーカーな点はよくわからなかった。
気難し屋のお父さんのほうにはワケがなくもない。
ヒロインの女優業は、秘書が臨時雇であることの理由だが、私には、ヒロインの事情が目で確かめられるシーンがないために、それほど女優でいたいように見えにくかった。
彼は地味な印象で、ヒロインの顔の作りに比べて硬い(ヒロインのビジュアルはこれでいいと思う)。
難しいところのある性格としても、ヒロインとの二人のシーンでも終始崩れず、読み手としてはなんとなく、恋愛モードに乗り損ねてしまった。そこへの、唐突なお父様への妻宣言も、キスして合意なのかと、彼の突っ走りしか見えなかった。
高い評価の前のレビューアーさんたちに申し訳ないが、わたしには、表紙絵の明るさが、最後くらいはあるかと期待して読んでしまって、結果、あれ、もう終わり?、みたいな気分だ。
父子の関係修復場面では、相談は単なるきっかけであって、和解時の挨拶的やり取りの後に、そこそこトップ交代の時から引きずった感情の縺れの一因となっていた仕事の関わりかたトラブルも、解決に向かうような、読者向けの配慮あってしかるべきだったのでは?
ストーリー前半に延々とあった、企業機密事項を臨時雇に任せながらの、機密保持目的のヒロイン缶詰めのところも、結局は単独のエピソードとなったのも、取り残された感じが残ってしまった。
ヒロインがお父様のお気に入りなのはいいが、息子と和解のシーンが急転直下な上にそのままヒロインとの結婚宣言へのリアクションがすぐ過ぎて軽すぎる気持ちもある。
なんとなく、いい年をして登場人物ほぼほぼ全てが感情の動きが子供っぽいように見えてしまうのだ。