表紙が綺麗だったので面白いファンタジーを期待して読んだのですが、正直期待外れでした。
いくら実在しない国が舞台のファンタジーでも、世界観の説明が無さすぎて読者は理解できないまま、どこへ感情移入していいのかも分からないまま物語が展開していってるせいで完全に置いてきぼりの傍観者のような気分で読んでしまいました。
描いている作者自身は、好きなものを描いていて楽しいんだろうな、と伝わってはきましたが。
商業誌で描いているのにも関わらずこんなに自己満足作品で良いのか?と疑問に思いました。
担当編集さんも、もっとダメ出しをして設定を作りこんでから連載開始すれば良いのに…。
過去にヒット作を出しているベテラン作家さんだからこそ、微妙な出来にガッカリです。
キャラクターはそれぞれ個性的で魅力があるとは思うのですが、基本オドオドしていて誰かに助けられてばかりの主人公を周りが溺愛しているのはなんだか受け入れられませんでした。
鷲麗は過去に助けられた思い出があるので、主人公を無条件に好いてても仕方ないかなとは思うものの。
皇族なのにそれは秘密で、王族の審査をする仕事をしている…?とか、そもそもの立場が理解できません。
いかにも王子様っぽいキャラクターで、主人公への好意が全面に出てる特別扱いっぷりには一瞬ときめきますが、ストーリーが進んで彼がどういうキャラクターなのか掴めてくるほどに魅力が半減していってる気がする危ういヒーローです…。
最初の方がミステリアスで魅力的でした。
今では主人公にベタベタしたあげく「なんでダメなのか分からない」って…天然通り越してバカなのかなって思います。子供か!
平然とベタベタしてる描写を描くこと自体、こういった作品ではそもそも間違っている気がします。
触りたいけど身分差があるから触れない、みたいなもどかしさを表現した方が、王族がちゃんと高貴な立場だということが伝わって作品を盛り上げてくれるのではないでしょうか。
まぁそれだとシリアスになりそうなので、あくまでラブコメを描きたいからこうなっているのでしょうが、物語の主軸のストーリーとなっている「人気を取るために王族バトルするわよ☆」って王族同士が争ってるのも、平和ゆえにバカっぽい遊びしてる貴族の暇つぶしに見えて…。
この物語そのものが何をしたいのか分からないせいで読む価値を見い出せませんでした。