癖の強い人物絵なので好みが分かれるかと思いますが、女性作者にしては重厚で力強い筆致の描き込み量。昨今の本格ファンタジー系列で画力の高い人気漫画家陣と同等なのではと思いますが、話と画、共に船戸氏の系統も感じます。1巻の第1話で(後になって「子ども」と表記されましたが)初登場のジゼルは年齢不詳の外見に、しなを作る仕草や目線、尊大な喋り方が妙齢の女性に見えてアンバランスでした。話数が進む程に、彼女がもの知らずの女性未満の少女だと判るのですが、序盤の導入はかなり大損をしている印象です。明らかに「子ども」であり「少女」である年齢だと推測してからは、彼女の立ち回りが自然なものに見えて来ました。まだ恐れも知らない好奇心を両手に抱えた女の子なのだと。貸し部屋の住人から近所へ、街へ、彼女の移動範囲が広がるにつれ、彼女の世界を見る眼の輝きが変わっていきます。外国の映画を観るような気分にもなって来ました。ここまで画力があるなら、もっとジゼルの外見を、表情を、精神と共に進化させて欲しい。そこまで魅せて貰えるなら、圧巻な作品だと叫びたくなります。正直、まだ様子見です。公園の船の話は、作画がすごかった。森の中の一面。鳥肌が立ちました。素晴らしいワンシーンでした。