ネタバレ・感想あり大楠公のレビュー

(5.0) 1件
(5)
1件
(4)
0件
(3)
0件
(2)
0件
(1)
0件
信義に生きる楠木正成
ネタバレ
2022年3月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 戦前の軍事教育での楠木正成はあくまで天皇の忠臣として表現されていましたが、
この漫画は信義に生きた人として描かれています。
この時代のことは戦国時代や幕末に比べ、テレビなどで取り上げることも少なく
30年ほど前にNHKの大河ドラマ「太平記」が放送されたくらいです。
この時の主人公は真田広之さん演じる足利尊氏でしたが、
武田鉄矢さん演じる楠木正成もなかなかの存在感がありました。
そういう意味でも鎌倉幕府から天皇親政、室町幕府へと続く時代を楠木正成という
武将を通して描いたこの漫画は意義のあるものだと思います。
物語の流れは大阪・河内の一介の悪党でしかなかった楠木正成が
後醍醐天皇の命で圧倒的な兵力の幕府軍に立ち向かい
見事なゲリラ戦でこれを退けます。
この正成の活躍に呼応して足利尊氏を始めとする
全国の有力武士が一丸となって鎌倉幕府を倒し、天皇親政の「建武の親政」が
始まりますがあっけなく瓦解。
足利尊氏による室町幕府の成立へと進む流れの中で
腐敗した鎌倉幕府を倒した両雄「楠木正成」と「足利尊氏」の友情、
正成を引き立ててくれた後醍醐天皇への恩義。
自分の生まれ故郷である河内の国とその民への慕情などが描かれています。
クライマックスは天皇に敵対した足利尊氏の大軍が京都に攻め上り
正成はその軍勢と闘うよう朝廷より命じられます。
正成は友情をとるか天皇への信義をとるかで悩みますが、
最後は後醍醐天皇への信義を貫き負けると分かっている戦に赴きます。
桜井の地で息子・正行へ後事を託し別れを告げるシーンも必読です。
妻・久子の賢妻ぶりも描かれています。
絵柄が古いタッチですが、それもまたその時代のものとして
受け入れられると思います。


いいね
0件
レビューをシェアしよう!