シングルマザーの母と兄弟との生活で育ったヒロインの極めて単純な望み、それだけに盲目で自分磨きだけに奔走し努力してきたことは涙ぐましく称賛されてもおかしくは無いが、男性を見る目を養ってはいなかった。けれど、試験前にパーティーしようとするような男子学生には見向きもせずというところは、気のあるそぶりを見せるような軽さを封じているし、常識的優等生が垣間見えて1票を投じるところである。しかし、社会に出てからは、財産で男性の価値を計り、失敗し、お金だけあっても幸せにはなれないと学んだ。そんな時に出会ったヒーローとの恋模様だけれど、当たり前にティーン時代に経験するような感情や、気の置けない人と共有する空間の心地よさを体験していくヒロインに、やり直すという道筋が見えて期待が持てた。ここからは順当に進展かと思いきや、過去が彼女に火の粉をかける。ヒーローの事情も絡んで誤解がすれ違いに及ぶが、解消のそのきっかけや心の吐露には、納得させられる言葉も無くて「それだけ?」という不満が残った。それでいいのか?という笑いとも呆れともあるようなエンディングに、経験から学んだ彼女の成長を知らしめるような事象が欲しかったと思う。