ヒロインリビーは離婚の痛手を癒すために 叔母の家を訪れ、彼女の思い出に浸ることで現実逃避した。それは、意図せず本物の現実逃避行だった。こういうファンタジーは大好きなのだけれど、繋がっている先が、常識ある場所であることに物語感が半端ない。それは、風呂場かもトイレかも冷蔵庫の中かもしれないのだから。100年の時の隔たりの中でも人は人として それらに接し会話できるという当たり前のなかで、恋におちた2人。未来から来たことを信じてもらうために 何かしらの物証と共に「真実」を話し合う事で分かりあうのだが、これって時代がどうであろうと、未来人であろうとなかろうと、他人同士である男女が恋におち お互いを知るためには 話し合いをすることが必要という教訓である。現代にもどって知ったヒーロージョナサン親子は死亡、おまけにリビーという女性は殺人犯として絞首刑という記事に 自分の身体に起こる結果を知って ショックを受けたリビーだが、それでも親子を助けるために過去へと戻っていく決断を 衣服を整え 机に向かい、従妹への決意とも遺書ともいえる手紙を書く姿を 横からの視点の作画が、孤独感を醸し出していて目頭が熱くなり 心拍も上がった。しかし、冒頭にも書いたが、大袈裟な現実逃避物語に読めてしまうのは、彼女の現実にケリをつけていない事とジョナサンの元妻バーバラの過去へ戻らない理由を、リビーがどう理解し、耐えられるか納得したかが書かれていないからかもしれない。愛さえあればと読ませるには 身の置き所の不安定さ 生活水準の差がモヤモヤを残している。