このレビューはネタバレを含みます▼
これがなかよしに載っていた時代…今読み返すと随分大人っぽいお話で、初めて読んだ子供の時には「なぜ?どうしてこうなるしか無かったの?」すっきりしないバッドエンドを飲み込むのは難しかったです。曽祢まさこさんの作品は、すっきりせずに後を引くような、でも大事な事を教えてくれているようなお話が多かった気がします。
アデルとジャンルイの出会いそのものは偶然なのでしょうが、かなりの因縁の相手でした。お金持ちで美しくて天真爛漫で…自らトラブルを引き寄せ疫病神との異名を持つアデル。自分が行動した結果の重大性を深く考えず、また父親始め周囲が揉み消す為に責任も取らず、すぐに忘れて楽しい事しか考えない。父親のような男性と結婚したなら、そのまま一生暮らせたかも知れませんが、アデルが愛したのは正義感の強いジャンルイ。アデルの罪を許せないジャンルイですが、それでもアデルが自分を信じてくれたなら彼女と生きていこうと思っていたのに、結局アデルは今までのやり方でしか生きられず、自分自身で彼を手放してしまう事に。
自分が他人に負わせた傷に無頓着だったアデルは、ジャンルイに拒絶される事によって初めて傷つく痛みを知ったのでした。