実際はあんなトントン拍子に物事がうまく動き出して本人も癒されて…って事はなく、色々端折って分かり易いよう描かれてはいると思う。
過去を探り問題を見つけ、苦しみも浮かび上がり、でも少しずつ前進していく癒しの過程がとても分かり易く描けている。
ただな…私自身この著者にとても近い思いを抱いて育ち、成長して生き辛さを感じる大人達の根本原因はほとんど親の間違った接し方だと、同じ結論を得た事もありました。
でも母親になると分かるよ、母親だってものすごく苦しいはずだよ。
誰だって子供に怒鳴ったり傷つける言葉を浴びせたりしたい訳がない。
そして産んでみると分かるけど、本当にめちゃくちゃ叱ったり憎たらしい程手を焼いたりなんてしないで済む「育てやすい子」がいる一方、どんなにどんなに努力してもありのまま受け入れようと思っても無理な「育てにくい子」って、どうしてもいるの。悲しい事に。
子供が悪い訳じゃない。当たり前だよ。
でも手を焼いて焼いて、周囲の助けも理解もなく、母親の育て方が悪い・努力が足りないんでしょって人から言われ続けて、自分自身も病んでどうしようもなく、著者の言う「子供に大人の都合を押し付ける育て方」をせざるを得ない事って、それはもう一杯、一杯あるよ
どの母親も子供には出来得る限りの事をしたい。だけど子供都合で子供を育てる事は出来ない…
日本は本当に子育てしにくい国だと思う。「子供だから子供らしくていい」が通用しない。
そのしわ寄せは殆ど全てが母親に向かう。外に出れば厳しい目にさらされ、子供を子供らしくいさせてやる事がなかなか出来ない。
その上子供に接する時はこれはいけない、あれはダメ、トラウマになるよ将来適応障害になるよ、ってダメダメばっかり増えてく
お行儀良く躾はきちんと、それでいて子供の個性は尊重しましょう、叱るときは慎重に。イライラをぶつけるなんて以ての外です。
子供には手作りの良い物を、ちゃんとバランス良く食べさせてね。えっ食べない?それは貴女のやり方がいけないんですよ。
息苦しい。息苦しい。あれもこれもダメ。誰か助けて。
そういうストレスの爆弾を抱えた母親達の、実に危うい綱渡りの上に今の育児は成り立ってる。
母親のはしくれとしてその事は分かって欲しいな…