尾形先生は、貴族の男性が、プライドと恋情との間に揺れる姿を描くと、その焦れがストーリーの純度を上げてくれる。自己肯定できない公爵様、ヒロインの寄せる想いを、まさか私なんかにそんなはずは、と。自信たっぷり男性がひしめき合うHQ世界には稀有なキャラ!
この、どこが、「尊大な公爵」なのだろう?
それとも、視点が違うところから付いた?
邦題は、亡き妻の世迷い言?
ヒロインの気持ちを公爵がやっと、本当に僕なの?的な、控えめな確かめたい気分ピークのときの、チャチャ入るシーン、あれ、やり直しのシチュエーションをちゃんと見せつけて欲しいと思った。
意外な話の転がりかたがなかなか存在感を主張したが、このストーリー、悪人扱いされているお尋ね人である「大物スパイ」にもドラマがありそうだ。
亡き妻と「ジェイコブ」とのアナザーストーリー、本作のヒロインは命を狙われているので、ブラックな側面故に日の目など見ないだろうが。
それにしても昨今の潮流なのか知らないが、近頃見た話題作の映画でもその傾向が入って驚いていたら、なんとHQまでも、お前もなのか、という思いだった。