物語としては興味深い。
第一話や3から4巻あたりの展開等、純粋に面白い部分もあるが、どちらかといえば感覚や価値観の違いが浮き彫りになるような話・設定・展開の目白押し。世の理を基にしている勧善懲悪ものなのにその理に先祖や年長の者を過度に敬う儒教的思想が自然に入れ込まれていたり、根本的な感覚に巨大な齟齬があるような価値観の上に物語が描かれるため、そこがダメな場合本当に登場人物の感情や行動に全くついてけなくなる。要するに感情移入しにくく、物語に入り込みにくい。
また、主人公が無意味に仲間に行動の理由を語らなかったり登場人物が皆意味深なことだけ言ったりと意味不明な行動をしがちなのも難点。それ最初から素直に説明しとけばややこしくならんかっただろ、な案件が多すぎる。
また、極度に低身長の二頭身のおっさんというレギュラーサブキャラが登場するが、はっきりいって不要。いなくても物語は何とでも展開できるようなどうでもいい立ち位置で、むしろその存在によってギャグシーンとシリアスシーンの境があいまいになり、場面場面をどうとらえていいかわからなくなるため、デザイン的にもストーリー的にも異物でしかない。主人に対する忠誠心とか言われても、現代日本と価値観が違いすぎて本質的に理解できないというのが正直なところ。一方的に私刑をくらって虐.待されて酷い目に合ってるのに忠誠を示すとか、異常だとしか思えない。
物語や設定の根本で価値観・感覚の本質的相違が強く感じられる作品だが、作画は極めて巧い上緻密に書き込まれ、戦闘シーン等の描写も上手く、なかなか類を見ないくらいに美麗な絵になっている。書き込みが多い分見ずらいという評価もできるが、ここまで書き込まれながらもきちんとマンガとして成立しているとも言える。画力だけで見るなら好みもあるものの☆4以上は固いくらいの評価。
とりあえず1巻を試しに読んでみて、面白いと感じたら読み進め、なんか違和感を感じたらそこで止めるのがいいかも。