この絵柄を見て最初は90年代前半頃の作品かと思ったが、なんと2000年代とは!当初はやや古臭く稚拙な画力が気になったが、段々と味になり後半には逆に武器になってきたように思う。ストーリーは「動物と話せる主人公が色々と動物を救いながらヒロインと結ばれる」という単調な話を想像したが、これが全然違う。もちろん恋愛要素もあれば、獣医資格を持つ筆者の知識に裏付けされた愛玩動物の知識、また現代社会が抱えるペットを取り巻く重い問題まで、喜怒哀楽全てを卓越したバランスで描ききっており、この構成力には脱帽。登場人物の心理描写も自然かつ心に刺さるものがあり、読んでいて何回も見返すほど引き込まれてしまう。まさに傑作だ。ただラストは人によるであろうが、個人的には好きではない。他の人の批評が知りたいところ。
蛇足だが、一番好きなのは北海道のお風呂回。