初期作品ならではの荒削りな筆致の中に、後の鬼才的エネルギーの萌芽を確かに感じさせる一作
無軌道で破天荒な展開は、道徳や理屈を嘲笑うかのような痛快さを孕みつつ、70年代サブカルの空気を色濃く反映している
ズバ蛮というキャラクターは、暴力と本能に忠実でありながらも、どこか愛嬌と哀しみを湛えた存在として描かれている点が印象深い
社会秩序を逆撫でするようなユーモアと、常識を破壊する破壊衝動が、当時の若年層の鬱屈を代弁していたとも言える
作画の奔放さと物語構造の破綻すれすれの疾走感は、整合性よりも衝動の純度を優先する永井豪の作家性を際立たせている
本作は決して完成された傑作ではないが、だからこそ表現の自由と反骨精神がストレートに伝わる、時代の産物としての価値が高い