ネタバレ・感想ありロボ・サピエンス前史のレビュー

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ずっと先の未来に向けた想像力
2021年4月27日
タイトルは、世界的ヒットとなった歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』との関連を感じる。
そこでは、私たちのあり得る未来として、「データ主義」の未来が論じられていた。それはテクノロジーとデータに信頼を寄せ、アナログではなくデジタルに主権を預けるような未来予想。
このマンガは、そうした「データ主義」の未来を描く。ロボットが感情を持ち、それが進化した生命体として現れる世界の物語。

ホモサピエンスの歴史から、ロボ・サピエンスの歴史に替わるまでの一幕を描いている。だからこそ、『ロボ・サピエンス前史』なんだろな。

私はハラリさんの本を読み、「データ主義」の未来に少なからず恐怖を覚えた。しかし、この物語で描かれるそれは、自分の想像よりずっと穏やかで、もっと丁寧な世界であるように感じられた。

アナログである私たちサピエンスと、似て非なるロボ・サピエンス。その違いに根差した物悲しさと、ある種の希望を感じさせる物語だと思う。「未知の未来」に対して想像力を向ける、ユニークで独特な雰囲気が魅力な作品。
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人とロボットが共存する未来
ネタバレ
2021年1月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 独自のストーリーテリングが玄人受けする島田虎之介さんの作品。今回はSFで人類とロボットが共存する未来の様々な物語が展開されます。自分の愛したロボットを探すように依頼する大富豪、自分が体験した記憶を交換するロボットたち、人間の変わりに何万年先まで核廃棄物が無害化する25万年先まで監視するミッションを与えられたロボットのエピソードが重ねられる。ディストピア的な題材でありながらその先にロボットが見出だす未来像はやさしく、そのことが作品に一筋の希望を表している。
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作家名: 島田虎之介
ジャンル: 青年マンガ 人間ドラマ / SF
出版社: 講談社