異母兄弟からの懇願を受け入れ、ヒロインミランダのインタビュー阻止を目論むヒーローパズだが、行動を起こすための下調べをしていない事にため息が出る。警察の調書くらい彼の立場なら手段を講じて読むことくらい出来そうだ(HQでは当たり前)だがしていない。このことは物語全体に 芝居がかった嘘臭を漂わせる要因となっている。彼の提案する解決策は、下調べ後 事の詳細を知ってからでも十分説得力を持つものなのだから、ここは要と言える。自己中心的な異母兄弟と疎遠なのは読んでわかるが、彼の出自を考えると無慈悲に切り捨てる事も出来ないのは分かった。しかし、それをもっと説得させるために、パズと父親の親しい(尊敬する)要因となる 絵を織り込むべきだった。彼らの非道さを書くのはもちろんだが、集約できていなくてもったいない気がした。パズは、ミランダとの出会いで 彼女に惹かれたから 事の真実に目を向けたのかもしれないが、それでは世界的企業の社長の名が泣く。そう嘘くさいのだ。しかも、パズの異母兄弟はパズをどう思っているのか想像できるが 確定ではないし、ミランダは、子供を愛せないかもしれない という思いと 子供を車ではねてしまったことの比較に意味があったのか?疑問が残る。それでもパズは、彼女の現状を把握し、寄り添い己の変化にも素直に対峙し行動するのは気持ちがいい。彼女への気持ちが本物であると期待感が増す。ネタバレの後の修羅場もミランダの言葉が的を射ていて同調する。が、姉の後押しにも 工夫が欲しかった。傷つき泣くミランダと慰めて説得する姉妹の距離感が似つかわしくないと感じた。