これが悪かったのではなく逆。
定評のある作品を出せる実績ある出版社の作品を私は日頃読みに来ている。本作、これら出版会社の仲介会社の位置付けと見ていたシーモアさんの「毎月」賞を受賞したんだそうで、そういう自社開発的な誕生の経緯を思うと、これまで手にとる気など持ったことがない。既存の出版社に何らか手数料的な金銭を払わなくて済ませられる利点から位の浅い動機と、勘ぐっていて、普段は期待などしない。提供しているところの政治力や何らかの力学がどうせ働くのだろうと勘ぐってしまう。いびつな数字もあったりなどしてるから、余計に、警戒していた。が、無料公開だ、と、どうした風の吹き回しか、暇が出来たので読む気に。
それでも、紙の雑誌を一月当たり十数冊と読んでいた頃、各出版社の漫画賞受賞作を読むのが大好きだったのを思い出した。ジャニーズや宝塚など、また、スポーツなど、次世代の新しい輝きを早くに垣間見出来るのは、ちょっとしたワクワク感がある。
この作品は、ブレークを待っていた才能を送り出す側の喜びも描いて、劇中と作品のポジションとの両方からダブルで読めた。
絵が出来上がってる感じが、完成度の高さとも、成長余地の少なさとも思えるが、上手くなると思ったのに何年経ってもあんまり変わらない、という先生も中にはいらっしゃるから、IS先生の高水準の画力はやっぱり大歓迎。
ストーリー、上述の視点から面白さを出しているし、社内の空気やその真反対の疲れ吹き飛びエピソード、短編のしまりかたが綺麗だと思った。
エレベーターの環境利用はベタ過ぎという気がしないでもない。
久々にラブ(別の意味で広義のラブはあるが)無しでも読んで物足りなさを覚えなかった漫画を読んだ。
私はハピエンのロマンスを、ほぼ中心に読んでいる読者なので、この私が日頃の嗜好と異なるジャンルに動くことは、頻繁にしない。本選びはそこそこ慎重なのだ。
表紙もなぜかひかれた。
今度は一段面切り取りの話よりは、うるさくなく他の要素も混ざり込んだ感じも読んでみたい。