漫画脚本家ジェイソン・アーロンはマーベルや自分のオリジナル作品を執筆しアメリカでは大人気(たぶん)作家
彼はウルヴァリン誌を2010年代まで担当し、ローガンのキャラクター性とヒーロー性を誌面に強く刻んでいた
#304をもって彼の担当期は終了し最終盤のローガンが訪日しての大冒険が収録されているのが本書
アートはアダム・キュバートやビリー・タンやパニッシャー誌で有名だった故人スティーブ・ディロン等が
執筆し個人的にはキュバート氏がやはり馴染みも有り読み易かった
ジェフリー・ダロウの見開きアートも収録
ローガンは故郷カナダの次に日本に親しんでいる
日本は愛妻マリコが眠っており娘アミコや恋人ユキオらが住んでいる
実子アキヒロも日本人
本書はアミコの危機を知って日本にユキオと急行したローガンの前に
彼の仇敵であるジャパニーズヤクザやザ・ハンドやセイバートゥースとミスティークらが次々と現れ
様々な勢力が抗争を繰り広げる展開
アミコのボーイフレンドがシルバーサムライJrとして初登場(シンゲン・ハラダという名前)
この作品、親と子の関係が横軸として描かれている
アミコは親が亡くなり父と育ての母ユキオが頼り
シンゲンは父を疎んじながら後を継ぎ
父親を殺しヘルファイアークラブを掌握したケイド・キルゴアや
岩手県の農民に潜入していた忍びの『草』いわゆるスリーパーエージェントは妻や息子を殺してまでも忍びに殉じる描写がある
ヤクザや忍びに関しては相変わらず美化されまくっていて日本の描写には珍妙に感じる絵も有るが
読んでいて楽しくて仕方ない
連載が2012年でありアミコを保護して彼女と共に最後にひと暴れする#303は「日本を愛してます!」という災害に見舞われた日本人へのラブコールで締め括られている
ジェイソン・アーロン氏の脚本は乗っている時は面白い
しかしローガンに付いていけなくなって別れたばかりの当時の恋人メリタ・ガーナーが
『ローガンと別れた女達の同盟』に所属を決めるのは下世話に過ぎる
ローガンはユキオともミスティークとも恋人だった過去が有る
本書に在る設定や展開は回収されていない要素も有るが
ローガンはこの時期は若いミュータントたちに学びと保護を提供するジーングレイ学園を興している最中だと理解すれば済むと思う
訳者兼解説者は最も評価してる光岡三ツ子氏なのも良かった