「俺は(私は)悪徳・・・になって・・・」というものは結構ありますが、当人は悪行と思っていることが、周囲には善行となって・・・という勘違い的な筋が多いようです(私の知っている狭い範囲の限りでは)。その勘違い?的なやり取りには、かなり無理がある、そうなるのは都合が良すぎる・・・ところが目につきます。しかし、この作品では、「領民から、搾り取るためには、まず領地を、領民を豊かにしなければならない。」ということで行動します。そこで、「どうして悪行しているのに慕われるの?」ではなく、慕われる結果も計算の上でということで、主人公の計算づくという展開となっています。勘違い的なところもありますが、ほんの些細なところです。その点が無理がなく、展開もスピィーディーで読み応えがあり、もういいよ、というところにならない作品です。