ネタバレ・感想あり雨月物語のレビュー

(5.0) 3件
(5)
3件
(4)
0件
(3)
0件
(2)
0件
(1)
0件
『過ぎた情念は、鬼を呼ぶ』
ネタバレ
2022年6月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 情感に溢れる作品で、これぞ日本のホラーです。

背筋がゾクッとするような物語を読みたくなり、ふと『雨月物語』で検索したところ、本作に出逢えました。
『雨月物語』は江戸時代の読本(よみほん: 小説の一種)で、9篇ある内の3篇である『吉備津の釜』『青頭巾』(⬅️BL的な要素有り)『蛇性の婬』が本作品に取り上げられておりました。原作に少しアレンジが加わっているようで読み易かったです。怪異が現れる前の雨や月といった自然の美しい描写が心に残ります。

表紙を捲ると「いつの世も過ぎた情念は、鬼を呼ぶ」と書かれていた通り、情念が引き起こす物狂おしさが鬼気迫る様子で描かれており、迫力があります。読後は涼しくなるというよりも物悲しい感じになりました。鬼となってしまった者達の一途な想いが、結局は一方的で報われないからです。(しかもその相手がよりにもよって好人物とは言い難いところが泣けてしまいます。鬼達に同情し気持ちを持っていかれました。)

「過ぎた情念はやがて自分の気持ちとは裏腹にコントロールできなくなりますよ」と教訓にすら感じましたが、やるせない気持ちになります。もしこういう状況に陥ってしまったら、果たしてどう折り合いをつけられるものか、中々の苦行でしょう。
3篇共に「強く囚われて離れない愛憎の感情」がテーマだと思いますが、普遍的なテーマだから面白い。

画が極めて美しく、物の怪や鬼がおどろおどろしくないところも好みです。
怪異の世界を少しだけ覗いてみたい方にはオススメです。
いいね
0件
今読んでも共感する
2022年1月10日
鬼やあやかしものが出てくる怪異ものですが、ヒトの愛憎や弱さ、浅ましさなどが根本にあり、読んでいて惹きつけられます。
もとは江戸時代の読み物ですが、絵も見やすくて初めての人でも読みやすいと思います。この作品に掲載されていない他6つのお話も読んでみたくなりました。
読みやすく、引き込まれます。
2021年12月11日
妖怪・化け物・幽霊の怖さ以上に、人間の醜さや浅ましさの方が怖くて悲しいと感じられる作品です。ひわさんの作品は絵が美しく、ストーリー展開も分かりやすいので、どんどんお話に引き込まれました。
レビューをシェアしよう!