登場人物各自の証言が折り重なり層を成して主人公の生育心理描写を重厚に縁どります。新鮮な手法。選択権のない子供にとっての家族&家族感は宿命です。その中で生きて自己確立し情操を保つのは学力のお蔭なのかも知れないー。微分積分三平方の定理は生活そのものとは無縁でも論理思考する鍛錬⁈なのか。
いずれ来る選択権行使での家族形成が意志を持って選び取れる、万人の持つ権利と実感させられます。
母親の柔軟な理性は救いですし愛情は確かに存在していたと感じます。光明を見出せます。欲を言えば父親の証言を読みたかった、知りたかった!
堅苦しいレビューになってしまいましたが一編の心理小説を拝読した読後感でおります。