ある出来事を切っ掛けに同居することになった生亀と兎太。30歳すぎの魔法使いだった生亀とゲイであることを隠して美人な彼女と暮らしていた兎太は見事に正反対で、生亀のダメダメさと兎太の苦悩とがうまく描かれ、そこにレスとなってしまった事情と二人の空回り具合が絶妙にマッチしていて面白かった。
生亀も兎太も面倒くさい思考に嵌まりがちで拗れて捻れる様子にヤキモキしてしまうけれど、2巻という長さはいい塩梅だったと思う。
ただ、ゲイであることを否定し続けていた兎太や生亀の祖父、兎太の家族の価値観の押し付けがずっと拳で殴られているような感覚になり、辛かった。兎太の上司や同僚、兎太の元カノたちの存在がなかったらもっと読後感は悪かったかもしれない。