隅々まで筆が入っている印象で、バンパイアの活動時間帯の夜イコール黒のイメージは感じることが出来る。黒が相対的に存在感強い作品だ。1頁1頁1コマ1コマが大切に描かれていてのがすごいと思う。紫陽花の場面はわぁ~と近目遠目にとしばし頁めくる手を休めて眺めてしまった。
雇い主の孤独に寄り添う主人公の奮闘も見せてくれて、二人の関係が良くなっていくのを感じ取れる。
トメさんの仕切りは徐々に前面には感じなくなる。
彼の孤独感の素が解き明かされていくとき、彼なりの理屈、周囲の人間の理屈、そこに読み手として「理解」出来る為の感情は人間バンパイア拘わらずに在ったし、そのせいもあってか、原因はバンパイア故に、という部分は非常に小さい。つまり、ストーリーの設定に用いられているものは、ストーリーにはそこまで影響を及ぼしていない。ましてやダンピールのことも説明は結果的には定義付けで終わってしまい、つまりは、バンパイアならでは、ダンピールならでは、の性格付けが、薄め。ストーリーをひとつ変わった環境であることで終わっていて、活用のほうは無い。主人公明日美はちょっと変わった環境に身を置いています、が全て。
今後のことに対する情報の出し方が不足で、特に主人公の処遇がストーリー進行に関わってきたのに方向を出していない(私はここはご主人様の気持ちとか意思といったのことを指していない)。二人の感情のやり取りも、心配や優しさはあったがそれを飛び越えた推移を見届けた感は持てなかった。
appendixのヴァンがビジュアル的同一性小さかった。