お仕事のある社会人女性5人の主人公達の話。中身はたまの養分補給に最適な恋愛物。
主人公の女性達は、それぞれに作者の断片は映りこんでいるのだろうか?それでも、読み手が本編5作品のどこかに、様々な自分自身を投影させて感じ取れるし、また、5人各様が自分とは相容れないキャラであったとしても、どこかに共感に近い親近感も抱いてしまう。感情の持ちようと相手への気持ちの自覚などのシーンが自然。でも、恋愛成分は濃く。
絵は第一印象で少し粗い感じがしたので、ストーリーも雑なのかと早合点しそうだった。人物画がメインキャラでもモブと勘違いしそう。だけれど、中に溶けて入っている相手男性像描写的なエピソード場面で、真正面に埋め込まれた殺し文句的な彼の愛を裏打ちする言葉の数々の力を借りて、噛み合わさって強く響いてくる。相手を意識しているさまの積み重なりを目にさせられてきて、巧みに結末まで盛り上がらされる。
「触れたい指先」 「好きと欲情」「君はかわいい男の子」「女王様と犬」「僕らは今日も愛されている」「番外編」の内訳。3作目が、ギャップある男子という、見覚え感ある展開なのに、この作者の作風にはそう感じさせないものがあり、力量ありとわかった。5作目はくらもちふさこ先生の「白いアイドル」シリーズを思い出す。恋愛物ではよく不自然な出会いとご都合展開に鼻白むことがあるが、この設定はそうした作り物臭を排除しているので、感情移入させやすい。
番外編は本編5作品の男子が勢揃い。
手フェチと市原先生があとがきで語っており、そこで振り返ってみて納得の統一感。私はもう少し各指に線の入らないアニメのような皮膚感のほうが好みで、リアルに筋が描きこまれてそれらがシワに見えそうなのは、より高い年齢を思わせて多少残念。
しかし久々に後ろまできたときすぐにもう一回おさらいした。番外編効果もある。