お話のないようは暑い夏を忘れさせてくれるくらいゾッとできる、ソーシャルスリラーです。
京子が後悔をするに至った過程をもう少し膨らませて描くことができていれば文句無しの満点評価だったと思います。ページ数などの大人の事情があったのかもしれませんが、「京子が小夜を救えなかったという事実」をしっかりと描くという作業は後半の展開に深く絡んでくるだけに、やはりなおざりにしてはいけなかったのではないかと思いました。
ただ、裏を返せば難点はそこだけだとわたしは思います。ありふれた顔の人物、筋道立てられた話の構成、斜め上の思想、古屋先生の作品はやっぱりよいです。
光子の連鎖がいつか止まるように祈っています。