このレビューはネタバレを含みます▼
ビアズリーの作品、彼に関する逸話や噂がうまく取り上げられていた。
病が悪化したときや、作品が発表できない時期など、暗い雰囲気もよく描かれている。それでも、一貫しているのは自分の作品への情熱や世に自分の名を残したいという欲、命ある限り描こうとしていた強さが伝わってきた。
作品のインスピレーションや執筆シーンはどこか幻想的で、ビアズリーの元の絵ともマッチしていたと思う。
この漫画を知った時期に、ちょうどビアズリー作品の企画展があり見に行ってきた。卑猥な露悪的なものであるけれども、美しさやどこか惹かれる作品もあり、不思議であった。個人的には『髪盗み』が気に入っており、その作品に関してはこの漫画(2巻12、13話)にも取り上げられており、好きな話である。ビアズリーの絵のモチーフも所々ちりばられており、裏表紙までオマージュされた絵があって、見ごたえがある。