細い線、繊細でふんわりとした印象の絵に、似つかわしくない重いお話でした。
作品タイトルと表紙絵からもわかる通り、人を解剖して知り尽くす、それも芸術のため。ですが物理的に解体しているわけではありません。
物理的では無いにせよ解体された少年は無傷であるわけもなく、それが重大なトラウマとなり以降の人生を陰を落として生きています。
芸術と性、死することと生きること、愛の解釈、そして救済。
たった1巻ですがズシンと響く作品だと思います。
初出は2004年。雰囲気的に萩尾望都先生や大島弓子先生がお好きな方にはハマると思います。
性的な行為までもが紙面全体に溶け込み、それは夜の一部、または背景の一部、装飾の一部のような自然な美しさでした。
ルーサの真っ直ぐで一途で確かな強い気持ち。
エバの迷い諦め不確かで褪せた、なのに惹きつける存在感。
気持ちの交錯を、まるで極上のワインを静かに堪能しているような読書でした。
蛇崩、がとても良かったので他の作品もと思い読んでみましたが、思ったよりも素敵な出会いでした。
次はアタ読みます。