ヒロイン(レティシャ)は“神聖帝国の聖女”の娘でありながら、母親である聖女から虐げられて育ちます。その理由はヒロインを生んでから、神聖力が下がってきている為。
娘への憎しみはつのり、自分達に恨みのあるゼノス公国の公王(ディトリアン)へ嫁がせます。しかも結婚祝いとして「半年以内にディトリアンを殺さなければ、生きたまま引き裂かれる呪い」を娘にかけます。ディトリアンとヒロインは徐々に思いが深まりますが、ティドリアンは死んでしまいます。嘆き悲しむヒロインは夫を救いたいと祈り続け、結果、巻き戻りに成功します。2度目の人生、今度こそ愛する夫を守りたいと懸命に行動するのでした。
【聖女である母親】相当に酷い。まさに冷酷無比。それも為政者として大義の為に冷徹な判断…などでなく、単に自己中心的な感情を満足させる為。人命を軽んじ、簡単に奪う。しかも残酷な仕打ちで。その上、自分の手の内の者でさえ、用済みと思えば簡単に切り捨てる。非情。無情。醜い人間性。筆舌に尽くしがたい。
【公王ディトリアン】まず公国は聖女の帝国に30年間虐げられてきた。先王と兄(第一王子ユリオス)を帝国の為に失った。兄は殺されて遺体になってからも、冒とくされた。ヒロインの事は聖女の情報操作で悪女と認識しており、そのような者との結婚は屈辱の極み。しかし国力の差を考え、己の心を殺し、ヒロインを妻として受け入れる。次々とやって来る耐え難い状況に耐え、国民の安寧を第一に考える人徳者。
【公王兄ユリオス】登場期間は短いが、強く印象を残す人。為政者として充分な器であり、優しく温かい人柄。好青年だった。
【ヒロイン】前述の理由で、ずっと虐げられている。母親の悪意にさらされ続け苦しい中でも、夫を救う為に奮闘する。2度目の人生では、1度目の人生になかった出来事が増えてくる。人柄は優しく健気。
物語は割と序盤から真の聖女がヒロインではないかと匂わされていますが、まだまだ母親の力が絶大で命の危険にさらされ続けます。ただ母親は悪行の限りを尽くしているので、苛烈な断罪を受け、相応な代償を払うところが見てみたい。この先、スカッと溜飲が下がるシーンを期待します。