このレビューはネタバレを含みます▼
勉強嫌いな人と、人の心情を察する想像力の欠けた人には難しい本かも。異国文化の話だから。土台が全く違うところから始まっており、こちらの想像力や知識で補うところもある。でも、途中に説明ページがさしはさまれているので、読めば理解できるはず。残酷なほどの男尊女卑の思想により、女児ばかり間引きされる時代と文化。日本にも同じく男尊女卑の思想はあり、それは主に道教の影響なのですが。更に古くは、邪馬台国の崩壊と共に『女性アンチ』を生んでしまったのかもしれない。台湾も同じく道教の影響が強い。が、日本よりも更に強硬な印象。我々現代人は文字を読めば知識を得られる。文字を読めれば誤った知識を訂正する機会も増える。けれど、識字率の低い文化圏では、読むべき文字がわからない。そして、台湾は元々多民族国家で共通の言語すらなかった。そうなると、どこから知識を得るかは一族や集落の伝聞や過去の因習が生活や人生の全てとなる。閉鎖的で恐ろしいことです。作中のシューリャンは虐げられた女性たちの復讐の女神の象徴で、幼く澄んだ心の持ち主である主人公には同じ人間のように見えていた。という設定。本人以外には怨霊と知られている。また、死者(霊)にも守るべきルールがある。破ると神様が派遣される設定も面白い。そもそも神様もかなりフランクに描かれていて、あんまり強くなくて怨霊に敗けたりする。また、怨霊から神格に上がったり、と日本とは微妙に違うシステムも興味深い。日本だと怨霊は祟らないでくださいと奉る。平将門の首塚とか。異国情緒と文化を大変美しい作画で描かれていて、非常に興味深く読みました。サブカル好きには良く刺さる。