表題作140頁(1990年発表)、同時収録「レインダンスが聴こえる」45頁。主人公達をもやっとした状況に置いている環境の中で、彼等なりにもがく。なにか打破したいのは伝わってくるし、その悩める姿の描写に思春期的な堂々巡りも感じ取れる。同じように何回か見えない心の壁にぶつかりながらやってみたことが、綺麗な突破ではないにしても、ひとつ新たな展開を呼びこんだ形となる話。
表現に才能をキラキラ感じさせる。絵も、言葉の畳みかけも。
ハーレクインコミックで渡辺直美先生を初めて知った。あちらはかつて少女漫画界にいらした先生が多いため、こちらを読んでみることに。ハーレクインコミック界は技量いろいろな先生が手掛けておられるが、渡辺直美先生は確かなものを感じさせる。
この少女漫画のころ腕をふるい、着実に表現を広げられていたことがよく判る。