主人公のふたりが可愛らしくお似合いです。最初から敵対国同士の陰謀含みの政略結婚。ヒロイン(エマ)は相手を強制発情させるテンプテーションという特殊能力の持ち主で、嫁ぎ先のギデオン国王を篭絡し、内部崩壊させる狙い。意図を理解しているギデオン国王は警戒心を隠さず、気を許そうとはしません。しかし、本当は中身が転生者のエマ、毒婦という評判の真逆。純真で無邪気、することなすこと全てが何とも可愛らしく、生来男らしさの塊のようなギデオン国王の庇護欲を掻き立てます。内面や行動は可愛いのに、外見は、豊満でありながらも折れそうな細い腰、閨では素直に快楽に反応する妖艶さ。ギデオン国王は自制しつつも、エマにひかれるのが止められない、口実を付けつつ、繰り返し閨を共にするのでした。これが思わぬ程の激しさでびっくり、陰謀中心にストーリー展開するのかと思いきや、閨事中心でした。
3巻完結で陰謀は尻窄み。急いで完了させた感がありますが、主人公ふたりの幸福感は溢れる程で、ハッピーエンド。これはこれで、まあいいのではと思います。
国王として重責を背負うギデオンは、エマの楽観的な前向きさにも救われます。繰り返しになりますが、夜も最高。心身ともに癒されて、孤高な国王にとって、結果的に至福をもたらした政略結婚なのでした。