マクドナルド1号店ができたとき、驚いたのは「野外での立ち食い」だった。セブンイレブンは24時間営業ではなかったし、かなり割高なイメージだった。ファミリーレストランは父親の給料日にちょっとおめかしして家族で行くところだった。ペットボトルやアルミ缶のジュースはなく、ジュースは瓶で銭湯か法事の時に飲めるものと言う印象で、お茶や水は買うものではなかった。麦茶にお砂糖を入れたりカルピスだった。ビールも瓶で酒屋が米と一緒に配達するのが普通だった。豆腐は自転車の豆腐売りがラッパを吹きながらやってきて、容器を持って買いに行く。酔って帰ってくる父親のお土産は寿司が定番で、各家庭の台所に漬物石とぬか床が当たり前にあった。出前は空いた器を洗って玄関先に出して置いて回収してもらう。テレビは一家に1台で、電話は固定。そんな生活をしていた頃の料理屋のお話。