日頃の惰性で抜くためのものではなく、ここぞというときのための至高の逸品です。心理描写がずば抜けて上手く、読んでいるだけでつい先輩に恋をしてしまうような作品でした。
はじめはただ綺麗で憧れの存在としての先輩が描かれており、ミステリアスな雰囲気を纏ったダウナー女子という、どこか掴みきれないもどかしさがありました。それが中盤以降、先輩の内面が描かれることで真に裏付けされた魅力を獲得していきます。憧れだった先輩の眩しさに焼かれ、じきに醜い部分すらも愛せてしまうという、本当の美しさとはなにかを考えさせられる作品でした。そんな雲の上の月のような先輩を汚すという禁忌、罪悪感や征服欲がスパイスとなり、そんな後ろめたさすらも肯定してくれる慈愛に触れ、あらゆる要素によって複雑に絡み合った深い快楽を実現しています。
この作品はただ気持ちよくなるためのものではなく、心すらも気持ちよくなってしまうような至宝です。濁り酒を口にするような味わい深さ、普段の安酒でなく節目や頑張った日のご褒美として、こちらの作品を選んでみてはいかがでしょうか。