ぶっとんでいて痛快です。主人公ふたりに、ちょっと腹黒い面があって、それがいい!
ヒロイン(子爵令嬢セルマ)はもともと不遇な生立ち。実母と幼くして死別し、再婚した父は家を傾けてから死去。残された義母はヒロインが18歳になったら好色な金持ちの老人に売りつけてやろうという魂胆。それを回避する為に婚活し、身分の釣り合う相手を学生生活中に得ようとします。
そして背水の陣で得た婚約者(伯爵令息ジョナス)は、別の女性(伯爵令嬢ドロシー)に籠絡されて、お決まりの卒業パーティーで婚約破棄のシーンとなります。
しかしこの先は異色。ヒロインは自分の婚約者に絡みつく横取り令嬢に、自分の罪状を盛って、その通りだと証言させます。もう自暴自棄なヒロインは、自分の罪を加重させて『滅却刑』になる算段。本来ならとても心痛むシーンになりそうですが、悲壮感はなし。むしろ荒唐無稽で笑える。ヒロインはワインを5杯一気飲みしてからの行動でもあり、酔いが回るにつれヒートアップの一方。勢いに飲まれた横取り令嬢は、誘導されるままに自白の肯定をするのでした。
恵まれないヒロインを救うのは、意外な人物で、彼のおかげで、全て狙っていた以上の結果になります。圧巻で痛快!そして笑える!主人公ふたりが、ちょっとダークで、強かなのが、とても良かったです。