序盤の展開から行きずりでの出会いから縁を結んでいく感じはとてもいい。王族を直接護衛する展開でなく、世継ぎの選定に重要な影響を与える令嬢を護衛するというちょっと外した展開等、物語の設定はかなり面白くて魅力的。
ただし問題は、キャラクターの個性の出し方が薄い。護衛することになるヒロインポジションの令嬢は美人設定と思われるが表現しきれておらず、思慮深いようで直情的になりやすい性格にしたいと思われるが、現状ただの短絡的・感情的な小娘。主人公は強者との闘いを望む戦闘狂という設定だが、戦闘時の高揚や歓喜の感情がいまいち伝わってこず、血みどろの闘争を望む者としての『狂気』が足りない。
物語自体は今後に期待できるネタが散りばめられてはいるが、この微妙なキャラクター造形が今後どうなっていくかが面白さを左右するポイントになりそう。